いちについて、




駅伝大会の出場は棄権したと、楓からLINEが入ったのはその日の午後だった。


LINEが入った音で、あたしは目を覚ました。


外はすでに赤くなっていて、夕暮れ時を示していた。

昇馬から、何回か電話が入っていたようだったけど、そのどれにもあたしは気づくことがなかった。


膝を抱えた時に握っていた両方の二の腕は跡がついて真っ赤になっていた。


その跡を擦りながら部屋の壁時計を見ると、時刻はすでに四時を回っていた。


軽く、八時間は寝ていたみたいだ。


昨日の夜に寝れなかった分の疲れがどっと押し寄せてきていたみたいで、今すぐにでももう一度寝れるとは思ったけれど、仕方なく立ち上がり、一階へ向かう。


電気はどこもついていなくて、薄暗く、少し寂しい空間だけが残されているように感じた。



そこで、喉がカラカラに乾いていたことに気づき、キッチンに向かってコップ一杯の水道水を飲む。


「はぁ………。」


一瞬、どうしてあたしは今日、学校に行かなかったのか、考えてしまった。


それから、ああ、泰知が死んだんだと言いようのない悲しみに襲われる。