「そんとき俺、携帯持ってなくてさ。母さんに買い物頼まれてあそこまで行ってただけで。」
昇馬は、時間の経緯とともに、泰知の事故について抜け落ちていないか確認しながらひとつひとつをあたしに話してくれた。
家についた七時半すぎ。
それから母親に頼まれて坂を下った先のコンビニまで買い物に出掛けた。
そこで泰知に会い、少し会話をしてから、泰知は家路に、昇馬は買い物へとそれぞれ向かう。
緩やかな坂道に差し掛かる手前、学校での登下校では通らない道ではあるが、買い物をして帰ったり、する時にはよく使うことになるそこの道に線路が通っていて、遮断機が降りないところもその近くだった。
泰知はイヤホンをはめて、緩やかに自転車を漕ぎ出す。
昇馬がコンビニに入って数秒後、大きな衝突音が耳を劈く。
イヤホンをしていたため、直前まで電車に気づかなかった泰知は、全身打撲、あるいは骨折の大怪我を負ってしまった。


