いちについて、




ふと思い出してあたしは体を起こした。


見れば、目的の方向に目的のものはちゃんとあった。


立ち上がってそれを取りに行く。



『夕夏へ。』


泰知のお母さんによく似た、丸くて、だけど少し乱暴な字。


白い封筒を手に取り、封を切ろうと試みる。




「………どうして………。」



でもやっぱり、なにかの拒否反応なのか、封を切ることができない。


全身の力がふっと抜け、その場に座り込む。



『ラブレターかな。』


これを指さして昇馬は笑った。


昇馬はこれを見て、どう思っただろうか。



苦しかったかな、

悔しかったかな、

切なかったかな。



あたしは手紙をテーブルの上に置く。

それから四つん這いでリュックに近づき、チャックを開く。



中身をゴソゴソと漁ると、すぐにスマホが出てきた。



それから電話帳を開き、名前を探す。



お気に入りの欄に登録しているため、それはすぐに見つかった。

迷わずに電話をかけた。



『もしもし。』



ほんの数秒だけ待って、あたしの聞きたかった声は聞こえてきた。


それだけでどことなく安心感を覚える。



大丈夫、あたしはまだ生きている。


苦しいけど、ちゃんと息をしている。

ここに、いる。




「あのね、昇馬……。」