いちについて、




「ごめん、あたし部屋にいる。」



「え、ご飯は?今日あたしの番だから作るよ。」



「ごめん、いらない。」


立ち上がり、リビングを出ようとドアの扉に手をかけた。



「夕夏……」



お兄ちゃんがあたしの名前を呼んだことには気づいていたけれど、わざと聞こえなかったふりをした。



階段に置いていたリュックを手に取り、階段を上る。

部屋に入ってリュックを床に投げ、ベッドに身を託す。



「はぁーーー。」


あれから何度、ため息をついたんだろう。


まだ足下しか見えていない。


なにかに置いていかれたような、気がしてならない。