お兄ちゃんはリビングのソファにゆったりと座り、インスタントのコーヒーを飲む。
あたしはその向かいに座り、ホットココアを飲む。
泰知や昇馬には味覚が子供だってバカにされるけれど、甘党だし、あたしはコーヒーが飲めない。
お兄ちゃんが飲んでいる苦そうなブラックのコーヒーを渋い顔で見つめる。
家の中にはあたしとお兄ちゃんがそれぞれコーヒーとココアを啜る音しか聞こえない。
お母さんはまだ仕事だし、お父さんは出張中で家にいない。
妹は塾に行っている時間帯だ。
あたしとお兄ちゃんと違って、清夏(さやか)は頭がいい。
県内では最難関の高校に合格するために必死になって勉強している。
あたしなんか推薦だったから面接だけで済んだのに、陸上も行ってないから何のために学校へ行っているのか分からなくなる。
「ねえ、お兄ちゃんっていつ大学決めたの?」
「え?あ〜いつだったかなぁ。」
お兄ちゃんはコーヒーをテーブルに起き、右手で頭を掻いた。


