「え、あ、お兄ちゃん。」
大きな旅行用のかばんを肩から下げた、四歳年上のお兄ちゃんが家の前で立っていた。
「何してんの?そこで。」
お兄ちゃんはあたしが泰知の家の前に立っているのを不審がっているのか、首をこてんと左に傾ける。
「あ、今日、泰知が死んじゃってから二ヶ月で………。」
「あ、もうそんなに経つんだ。」
納得したように両手をポケットに突っ込み、鼻をズズっと啜る。
「てか、寒いから中入ろうぜ。」
現在、都内の大学に通っているお兄ちゃんは他の生徒よりも早く冬休みに突入したらしい。
大きなかばんは一週間の帰省を意味していた。


