「それ、ラブレターかな。」
昇馬はあたしのリュックのポケットを指さして優しく笑う。
「そうかもね。」
この手紙の封を切るのはまた、後でにしよう。
今はまだ見なくても大丈夫。
「今度は百日のときか?」
「うん、そうだね。」
「そん時までにちゃんと寝られるようにしろよ。」
昇馬はガチャンと自転車のストッパーを外す。
そのまま自転車に跨り、こちらを振り返る。
「じゃあな夕夏。また明日。」
片手をあげて自転車を漕ぎ出す。
それにあたしも片手を上げて応える。
昇馬の自転車が見えなくなるまで、あたしはその後ろ姿を見つめていた。
自転車や緩やかな坂道を登り、それから左に角を曲がって見えなくなった。
自転車の残像までもがやがて消え、あたしも家に帰ろうと振り返ろうとした時だった。
「夕夏?」


