***
日中は晴れてきていた空ではあったけれども、学校を出る頃には再び顔色を悪くし、いつの間にか雪まで降り始めていた。
学校近くの花屋に寄り道をし、アザレアと呼ばれる西洋ツツジを含んだ花の束を買った。
何も持っていないあたし達のささやかな気持ちであった。
ゆったりとした坂道を上る。
隣にはチリチリとタイヤがゆっくりと転がる音が聞こえる。
泰知の家が近づく度に足取りが重くなるのは、きっと気のせいなんかじゃないとあたしも昇馬も感じていたはず。
泰知の家の前に着いた瞬間、足が竦んで二人揃ってその場に凍りついたように動けなくなってしまったのだから。
最後に来たのは、四十九日の日。
あれから幾日と日は経っていない。
でも、あの日はまだ人が参列していた。
今日は、あたし達二人だけ。
きっと他にここに来る人はいないだろう。
インターホンに向けた人差し指が僅かながら震えを伴う。
ピンポーーン……。
緊迫して重苦しさを感じるあたしとは正反対にインターホンは間延びしたチャイムを家の中に響かせた。


