「今日で二ヶ月?」
「うん………。まだ、昨日の事のようにしか思えない。」
「あたしも、まだ………。」
それはきっとみんな同じ気持ちであるんだ。
特に陸上部のみんなは。
みんな、泰知の後ろ姿を追うことがいつの間にか好きになってしまっていたから。
後輩でも、先輩でも、同級生のあたし達だって。
『ついてこい』そう言わんばかりに自慢げに背中を見せる泰知を追いかけていた。
その消えてしまった背中の代わりはまだ見つけられていない。
頼っていけない決まっていない永遠に頼ってしまったあたし達の心の穴は想像以上に大きかったのだ。
「泰知ママ、元気かな。」
泰知が小さい頃に離婚してしまった泰知の両親。
母子家庭だった泰知の家では、泰知のお母さんだけがあたしの家の隣にある一軒家に残ってしまった。
最後に楓が泰知のお母さんを見たのは、ちょうど二ヶ月前。
あたしは時々会っているけれど、その度にやつれていく。
前のような気品あって綺麗な泰知のお母さんの姿はどこかへ行ってしまっていた。


