教室に入り自分の席へ向かうと、先に来ていた楓があたしに気づいた。
ブレザーの袖から出たページュのカーディガンで半分ほど隠した手をあたしに向かって挙げる。
「おはよ、夕夏。」
「おはよ。」
楓は、陸上部の中で唯一同じクラスになった。
同じ文系のクラスで、あたしと楓と泰知以外の部員は理系や理数科のクラスに行ってしまった。
でも、楓と同じクラスになれただけであたしは十分だった。
本当は、泰知と昇馬と同じクラスになれればよかったけど、進路がまず違いすぎるし叶わぬ願いとなった。
「夕夏、痩せた?」
「それ、昇馬にもさっき言われた。」
一番窓側の前から三番目の席に座る楓の後ろの机の横にリュックサックを掛けた。
この前の席替えで運良くあたし達は前後になった。
それは、泰知がいなくなってすぐの事だったし、あたしは楓のそばに居るってだけで大分救われていたと思う。


