首をひねったあたしを見かねて、昇馬はああ、と口を開いた。
「戻れないって言うなら、自分の意思で戻りたくないってわけじゃないんだろ?」
「そう……なのかな。」
「戻ってこいよ。あと一人足りなくて今年も駅伝組めないって言ってたぞ?」
昇馬は笑ってあたしを見た。
その笑顔のぎこちなさが、不器用さが余計にあたしの心を締め付ける。
「ご飯、ちゃんと食えてるか?」
昇馬に対して何も返せずにいると、昇馬は別の話題を口にした。
だけど、その言い回しや内容の節々から、あたしのことを気遣っていることが垣間見えている。
「前よりかは。」
「ちゃんと寝れてる?」
「まあまあ。」
「痩せたな、夕夏。」
夜はなかなか寝付けなくてご飯は喉を通らない。
これは夢なんじゃないかと思う度にどこかへ逃げ出してしまいたくなる衝動に駆られる。
どうしようもなく、この世界が居づらいと感じる日が増えた。
消えてしまいたいと思う日が増えて、毎朝鏡に映る自分の顔が痩せこけて行くのを見るのが辛くなり、メイクもしなくなった。
休日はどこにも行かず、いや、行けずに家の中で何かと必死に闘っている格好の悪い自分が存在していることがものすごく嫌だ。
「こんなになるなんて、思ってなかったから………。」


