「ほーら、帰るぞ。」
笑顔弾ける泰知が右手を伸ばしてくる。
その手をあたしは断ることなくしっかり握る。
「わ、やばっ。」
「おいっ。」
足にうまく力が入らずに、泰知に腕を引かれるまま、泰知の胸に飛び込んでしまった。
「ごめっ。」
「いや。自分で立てる?」
「微妙かも。」
泰知の胸の中で笑うと、しゃあねぇな、とあたしをまた段差に座らせてくれる。
「ほーい、荷物よ。」
菜々子さんが陸部女子の部室がある二階からあたしの荷物を落とした。
「っぶねーっすよ菜々子さん!!落としたら俺が怒られるんすから!」
「え?怒られれば良かったのに。」
そのまま菜々子さんは顔を引っ込めた。
本当にこの二人、仲がいいんだか悪いんだか……。
「え、泰知?あたしの荷物どこに持ってくの!?」
気づくと泰知はあたしのリュックを抱えてどこかへ行ってしまった。


