『そんなことあるわけないでしょ。』
突っ込みたかったけど、わざとやめておいた。
だってまあ、本当に惚れ直したってのも無くはなかったから。
こんなしょうもない会話をしていると、昔の良き日々が切り取られた空間にいるような気がして、心地いい。
悪くないし、逆に居心地良さに酔いしれてしまいそう。
ただ、あたしの空いた左隣に、もう泰知はいない。
まだ後ろめたい気持ちとともに伝えきれなかった数々の感謝が後悔として未だにあたしの体を苦しめる。
大丈夫かって言われてうんとは簡単には頷けない。
でも、もう後ろを見なくてもあたし達は生きていける。


