ゴールすると、パチパチとまばらな拍手が起こる。
なんの拍手に対してか、あたしには全く分からなかった。
走りきったことに対して?
立ち上がれたことに対して?
立ち上がることは当たり前なのに?
ゴールを切らなきゃ意味が無いのに?
楓はまばらな拍手を受けながら、その場に倒れ込んだ。
「あ、あたし、楓のところ行ってくる。」
「待て。」
走り出そうとしたあたしの体は昇馬に右腕を掴まれたことによって静止せざるを得なかった。
「なんで、だって楓が……」
「行ったって、会えないだろ。」
泰知が横から出てきて顎でゴールの方を指す。
いつの間にか、どこからか運ばれてきた担架に乗せられた楓は本部席の方に消えた。
「会えるとしたら前川先生だけだろ。んで、病院送りだな。」
「えっ?」
「多分、右足は思い切り捻ったな。左足が無事なこと祈るよってところだな。それよりお前、そろそろアップしないと。」
まだ楓の事故に衝撃を隠せないままのあたしは泰知と昇馬の二人によって強引にアップ場まで連れていかれた。


