いちについて、




六限も七限もウトウトしていたくせに、泰知は放課になった瞬間に誰よりも早く教室を出ていった。



「あいつって、バカ?」



後ろのロッカーにものを置きに行こうとしていたらしく、ちょうどあたしとすれ違った昇馬に聞いてみた。



「バカすぎってところ。」


昇馬はもうメガネを外してしまったようだった。


鼻の上あたりにはほんの少しだけ赤く、メガネの跡が残っている。


そして通り過ぎた昇馬は、ゴソゴソとロッカーを漁ってからあたしに声をかけた。




「週末の課題、何かあったっけ?」


そうだ、今日が金曜日だってこと忘れてた。

古文の参考書持っていかないと、課題を全くできなくて悲惨な目に遭いそうだ。



「数学と古文と……、あ、物理。」



「物理忘れてたわ、さんきゅ。」



思いっきり全教科置き勉している昇馬はロッカーの奥の方から物理の教科書を引っ張ってきた。



「部活、一緒に行く?」


再びあたしの隣を通る時、昇馬が言った。



「うん、行く。今準備するから。」