『お前らは出ろ。ここまでやってきて失敗って言ったら欠場する事だ。それは、増田や篠沢でさえ望んでないだろ。』


頭の中に順に凪斗さんと泰知の顔が浮かぶ。


ダメだ、落ち着かせなきゃ。


深呼吸をしてみても、両手は震え、嫌な汗が体中にへばっているような気分になった。



「あの、夕夏は………。」


『………今は聞くな。集中しろ、昇馬。目の前を、見ろ。』


長い沈黙のあとに、前川先生はそう言った。


今は気にするな、気にすべき時ではないと何度も自分にに言い聞かせ、落ち着いたところで電話を切った。

先生はそれを待っていたかのように、大丈夫だ、と最後に行ってから電話を終了させた。