地元に帰ってくれば夕夏は一躍時の人となり、連日取材や撮影でまともに練習時間なんて取れたもんじゃなかった。


本人は極力断っていたが、それでも報道陣の数の多さに辞めてやるよ今すぐ!!と、部室で騒いでいたのが男子の部室まで聞こえていた。

そこら辺は、夕夏らしいのだが。


全国大会が終わってからはまるで本当に一瞬で時が流れてしまったようだった。


気がつけば県駅伝当日になっていたし、気がつけば夕夏は救急車に載せられていた。

何があったか全く分からず、俺は呆然とそこに立ちすくむしかなかった。



マネージャーが自分の携帯を持ってきて、俺に前川先生からだと告げてきた時にようやく、我に返ったくらいだ。

どれくらいそこでそうしていたかも全く見当がつかない。