こんなに止められないくらいに溢れ出る涙をそのまま流したのはいつぶりだろう。
今まで、泰知に負けても、一位を取れなくても、中学校の卒業式でも涙を堪えてこれたのに、今の俺にはそれが出来ない。
感情を抑制することが出来なかった。
ただ、夕夏の腕の中で、思いを打ち明けるかのように涙を流す。
思えば数ヶ月前、涙を流す夕夏を俺が抱きしめた記憶がある。
お互い、泰知を失ったのは大きな傷になって心に深く居座ってしまった。
だけど、こうして分かち合うことでこんなにも楽になるなんて、全然知らなかった。
俺は、俺に気づけなかった。