先生はまるで、俺がこの結果をあらかじめ出すのを分かっていたかのような、悲しみとも悔しさとも取れない不思議な表情をしていた。
「頭冷やせ。大丈夫だ。県駅伝に合わせれば、なんにも問題ない。」
先生が何のことを言いたいかは直接言われなくても分かったし、俺がなんのことを考えているかも先生にはちゃんと伝わっていたようだ。
その事が、いま俺の中でとてつもなく安心したことだった。
少しだけ、泣きたくなった。
自分の順位が速報で出た瞬間、ああ、こんなもんかとその他の感情が出てくることは無かったのに、今になって悔しいのか辛いのか、わけがわからない感情で頭の中が一杯になった。
「呼び戻してきて、夕夏のこと。」
見かねた楓が俺の肩を叩く。
「待ってる。時間かかっていい。ちゃんと、ここで区切りをつけないと、お互い進めないんじゃないの?私たちはちゃんと待ってるから。みんな、わかってる。」
楓に背中を押され、俺は自分の荷物をそのままに陣地から駆け出した。


