多大になる尊敬の意を示していた先輩達はそれぞれの進路へと進み、新たな後輩ができ、俺らは受験生と呼ばれるようになった。
いろいろなプレッシャーに日々追われていればいつの間にか、インハイ予選はついに明日に迫っていた。
俺は、本命の3000m障害となぜか800mに進んで立候補した。
どうしてそうしようと思ったのか今でも不思議でならないが、昨日、夕夏との学校の帰りに、
『泰知の思いが忘れられないんじゃない?』
と言われて、ピンと来ていないわけでも無かった。
そんな夕夏は、もちろん今回もインターハイ優勝という名誉をかけて800m一本に絞り込んだ。
オーダー直前まで400mと両立に迷っていたけど、やっぱりこれしかないと決めたのは夕夏らしいと思う。
俺は何年ぶりかの800mに心も体もウズウズしていた。
400や800を走る人はMだとよく言われるが、俺は自信もってドMだ!!と言いきれるくらい、本当は800mが好きだった。
ただ、泰知の足元にも及ばないとわかってきたと同時に障害の魅力にも魅せられ、そちらに変更したのだ。


