『最後』という意味のその言葉を、凪斗さんは噛み締めるように呟く。
「去年は2位だったけど、やっぱ目指すなら都大路だろって思って。みんなも本気でついてきてくれたし、お前の本気も……ジャンパーの俺が言うのはおかしいかもしんないけど、お前らがいてくれて、本気でやってくれて、正直嬉しかった。」
「俺も………凪斗さんと都大路に行くこと、目指してました、本気で。」
目がかち合うと、凪斗さんは柔らかに微笑む。
この笑顔が、いつも優しく俺らを導いてくれていたこと、今更思い出した。
苦しい時も、辛い時も、悔しい時も、凪斗さんの笑顔は、俺を励まし、勇気づけてくれた。
この人のおかげだった。
なのに俺は、凪斗さんに何も、恩返しできなかった。
「まさか、出発の前の日に死ぬとかなぁ。ありえねえよ。」
鼻で笑う音が聞こえる。
なんという偶然だろうか。
これから、都大路というプレゼントを凪斗さんに渡そうと言っていた矢先。
運命は俺らに悲しみしか与えてくれなかった。


