「俺さ、わかる通り意外と駅伝好きだった。まあ、小学生の頃からそういう有志の大会には出てたし、中学でも特設の駅伝部も兼ねてた。ハイジャンと同じくらい、普通に好きだった。」
頬ずえをつき、空になったラーメンの入っていた椀を、どこか遠くを見るような目で見つめていた。
凪斗さんが駅伝が好きだったことは、知っていた。
はっきり言ってしまえば、俺や泰知よりかは持久力は欠けるが、ハイジャンの選手らしくスピードはある。
そのため、スピードが必要となる3キロ区間を三年間任されたというのも知っている。
バーを飛び越える時とはまた違った表情を、駅伝では見せる。
それに、俺らは惹かれていた。
この人は、本気で駅伝を楽しんでいると、練習の度に思い知らされた。
「まあでも、大学はやっぱりハイジャンに絞りたいんだ。……バカかもしんねえけど、俺はハイジャンでオリンピアンになりたい。それ以外に、この身長を生かす術も俺にはねえからな。」
「それは………、知りませんでした。」
「まあな。菜々子くらいにしか言ったことねえもんな……。だからさ、今年の駅伝っていうのは俺にとって長距離のラストチャンスだった。」


