「あのお、俺自転車っすよ?」
「あ、忘れてた。」
部室棟から右に曲がり正門から出ようとする凪斗さんを止めた。
俺の自転車はどこかへ忘れ去られてしまっていたようだ。
それから、並んで駐輪場まで行き、一台だけ残っていた俺の自転車を引っ張ってきて、乗らずにそれを押した。
チリチリ……と、自転車のチェーンはやはり寂しいような音を立てる。
もう既に日は沈み、暗闇に包まれた帰り道を、並んでふたりで歩く。
途中で、よく凪斗さんが通うというラーメン屋に入った。
席についてから、これは遅くなりそうだと、心配性な母さんに夕飯は食べてから帰るとラインをしたが、すぐには既読はつかなかった。
まあ、それでもいいと思い携帯をしまい、しばらく経ってから二つのラーメンが俺らの前に置かれた。


