そうだと理解していない凪斗さんは、まあ帰ろうかと至ってマイペースだ。
「いつからですか?」
「んー、高二の夏?くらいかな。」
「よく一年半も、先生にバレずに済みましたね。」
そう言うと、凪斗さんは確かにな、と笑った。
陸上部はもちろん、部内恋愛は禁止だ。
事実がバレたら休部もある。
しかも、凪斗さんはその性格の良さか、案外顔が広い。
だから、どこに行ってもわんさか知り合いがいる。
それなのに、よく一年半ももったものだとそこだけは心の底から尊敬する。
「まあ、引退してすぐに前川にバレたけどな。」
はにかんだように、頭を掻きながら凪斗さんは笑った。
「さあて、ラーメンでも食いに行くか。」
「そうですね。」
俺は、先に歩き出す凪斗さんの後に続く。
まだ寒いなぁ、と呟く彼の後ろ姿は、やはり煌びやかで眩しいものだ。
いつも、この背中に憧れる。
まるで、泰知のようでもある。


