潮風が寒いからカーディガンあたりは出しておいた方が良さそうだと思っていたけれど、なかなかに太陽が容赦なく町全体を照りつけているため、その必要性は感じられない。


今着ている薄手の半袖ロゴTシャツでどうにかなりそうだ。




電車は徐々に失速を始めた。



本日何回目のことだか。


心地よい揺れに、眠りにつきそうになった瞬間に、物理的な力によって動く体に脳が反応し、目が覚める。


何度と繰り返しているうちに次第に眠気もどこかへ行ってしまったようだ。




ゆっくりと減速していった電車は、駅のプラットフォームのちょうど中央あたりに止まった。


二両編成の電車は都会よりもものすごく寂しい。



電車から降り立つと、真夏の匂いを感じる。



蝉の音

生温い風

淡く漂う海の匂い。




日焼け止め、もう少し塗ってくればよかったかもしれない。



まだ日陰だからいいものの、ひなたにでたら相当暑そうな予感しかない。