「夕夏、メニューはどうする。」
長距離のストレッチが終わり、本メニューに入る前に夕夏に聞いてみれば、夕夏はニヤリと妖艶な笑をこちらに向ける。
「一緒に走るよ。」
半年弱走っていないというのに、こいつはよくこんな発言ができるものだと思いつつも、やめろと言えば機嫌が悪くなるのは確かなので、俺はそのまま夕夏にメニューをやらせてみせた。
800m×5本。
今日はそこまできつくはない。
しかも、夕夏の得意種目だ。
夕夏は1本目から、余裕そうな顔をして女子のトップに立ち、一年男子まで越し、チーム全体で4番目にゴールした。
「さすがだな。」
息は上がっているが、まだしっかりと両足で立っていられる夕夏は、きっと毎日走っていたのだろうと確信させるくらいだった。
「あたしを誰だと思ってるの?」
さすが夕夏。
やっぱり全国のトップに立つやつはプライドも意識も俺と格別に違う。
夕夏は二本目も余裕でクリアした。


