そこには、部長としての責任感というものが働く。
「じゃあ、いってきます。」
「おう。」
後ろから励まされるように声をかけてもらい、ウズウズしている体を二人の方向に向ける。
階段を珍しくバタバタと駆け下り、礼もせずにトラックに入り、ふたりを制しに行く。
他のみんなは、怖気づいて見ているしかないし、楓はこの状況を誰よりも楽しんでいる。
止めてくれてもいいだろうに、楓のなかなかの悪を知ったのはつい最近のことだ。
まあ、夕夏を陸上部に戻すための『泰知飛び出し作戦』というものはことごとく失敗した。
それについてはまた、機会があったら話すことにしようか。
「いい加減にしろよお前ら。練習するぞ。」
二人は互いに一瞥し合った後、さすがに俺のドスの効いた声色に何も言えなかったのか、それぞれの行動を始めた。
「ほら、全員ランニング行くぞ。」
きっと、凪斗さんが部室棟の二階からニヤニヤしながらこちらを見ているだろうことを頭に入れながら、わざと振り返らずに部員を連れてトラックの一レーンに踏み込む。


