いちについて、




今年の県駅伝、凪斗さんをはじめ、走るメンバーも走らないメンバーも全員が都大路を確信していた。


それくらい仕上がっていたのに、泰知の死によって県駅伝優勝は幻となってしまった。


泰知が亡くなった次の日、県駅伝に出発する日、俺は怖くて外に出れなかった。


夕夏を呼び出すのがやっとだったくらいだ。



もしかしたら、県駅伝には出れたかもしれない。



俺ら二人の代わりは、山仲高校にはたくさんいる。


走りたいのに走れなかった三年生もいっぱいいる。



だけど、俺らは出場を辞退した。




欠場を決定したのは、紛れもなく凪斗さんであった。


女子も、走れないと言って菜々子さんが欠場を決めたと聞いた。


それからしばらくは俺も練習には行けなくて、凪斗さんは俺が戻る前に引退してしまった。



でも、凪斗さんは俺のところに足をわざわざ運んで、陸上部に戻れと部長の座を俺に引き継がせた。


凪斗さんからの責任があったから、俺は簡単に戻ることが出来た。


来年も同じようなことはしたくないと思うと、すぐに戻ってこれた。


泰知の思いも、俺はちゃんとわかっていたから。