全身揃った薄手のウィンドブレーカーを着て、鮮やかな青色のブルーのランニングシューズを履き、黒のリュックサックを背負っている姿から見て、走りに来たのに間違いはないようだ。
凪斗さんは部室の目の前にリュックサックを置き、俺に習って柵に両肘を乗せて組む。
「やっと、みんな帰ってきたって感じだな。」
「そうですね。」
凪斗さんは懐かしむように階下で繰り広げられている光景を楽しそうに目を細めて見つめる。
「来年は、ちゃんと出ろよ。駅伝。」
「はい……すいません。」
「いいよ、別に全然気にしてないし。俺もきっとショックでまともに走れなかったから。」
俺は、そう言う凪斗さんの顔を見ることが出来なかった。
凪斗さんはハイジャンの選手ではあるが、八種でも記録が残せるくらいの実力者で、長距離も速い。
だから、異例のスプリンターの長距離ランナーだった。