「確か、あそこのどっかから降りれるよね。」
夕夏は国道の向こう側に広がる海を指さして言った。
「捜してみようか。」
ちょうどタイミング良く信号が青に変わったので、方向転換をして横断歩道を渡り、海沿いの歩道までやって来た。
しばらくそこら辺を散策していると、浜辺に繋がる階段を見つけた。
そこから階段を降り、砂地に足をつける。
そう言えば、中二の冬くらいに砂浜合宿だあ!なんて言って、砂浜を一日中走らされたことがあった。
砂のせいで足は縺れ、うまく走れない。
そのため、バランス感覚が十分に養われている泰知だけが難なくメニューをこなしていたんだっけ。
ほらまた、泰知の記憶ばかりだ。
思い出の節々に泰知の姿を思い出す。


