夕夏の目の前でちょうど足は勢いをなくし、止まる。 「おはよ、夕夏。」 「はよ。昇馬。」 互いに挨拶を交わした夕夏は、彼女らしく黒生地にピンクのラインが入ったウィンドブレーカーを履き、track&fieldと書かれたトレーナーを着ている。 ネックウォーマーをして、俺と同じように腕時計を付けている。 「行けるか?」 「もちろん。」 いつぶりだろうか。 俺らは二人並んで走り出す。 行き先は特に決めていない。 きっと、行けるところまで行くだろう。 それがいつもの俺らなのだから。