明日が中学生の高校入試があるらしく、今日と明日は全部活がオフになった。
冬の練習が休みが無かったおかげで、こうして夕夏と肩を並べて帰り道を歩くのは随分と久しぶりなように感じる。
もちろん俺は、チリチリと悲しそうな音を立てながら自転車を押している。
そう言えば、となんとなく思い出した泰知の写真を夕夏に見せてみた。
夕夏は少し驚いたように、でも思い出を懐かしむかのように穏やかに笑う。
その笑顔には哀しみももちろん含まれているわけだ。
俺はいつ、泰知の思いを伝えるべきであろうか。
泰知と遺書となってしまった手紙、あれにすら書いていない、俺だけが知る本当の泰知の思い。
早く伝えなければと思えば思うほど、タイミングを見失い、焦る自分を悔やむことになってしまう。
でも、ゆっくりしてはいられない。
夕夏は、今年もインターハイに出なければならないのだ。
ここでたらたらと暇な時間を過ごしていてはならないのだ。
早く前を向いて歩き始めないといけないのに、俺はどうして………。


