二人は、速い。


たぶん、俺の何倍も。



だって二年生にして片方は新記録保持者に、もう片方は学年の中では種目トップになったのだから。


もう、俺の手の届くところに二人はいない。


そう、考えてしまう日がない訳でもない。




たぶん、俺だって県の連中から見れば速いんだ。



入賞くらいはできる。



ただいつも夕夏と泰知の活躍によって俺の記録なんか廃れてしまうのだ。


二人が持つ賞状やメダル、トロフィーの数々。



俺には無いものを、二人はいとも簡単に手に入れてしまうのだ。


泰知とは陸上を始めた時期は同じなのに、あいつの方がよほど強くて、よほど輝いている。


よく、ライバルだと泰知に言われるし、俺もライバルだと思っている。



でもたまに、思う時がある。



俺はきっと、一生かかってもお前には届かない。