「四レーン、西園光里さん。田北西高校。」
「「「光里ぃ〜〜!!」」」
たぶん、対角線上に反対側で光里の応援隊がいる。
やっぱり、全国の舞台でも大勢集まれる高校は凄い。
光里、そんな応援隊に向かって両手をめいっぱいに振って見せた。
「以上八名により、女子800m決勝です。」
アナウンスにより、会場の雰囲気はさらに高まる。
しかしそれは、流れていた音楽が止まると同時にしんと、沈黙に包まれる。
『On your mark……』
「お願いします。」
これから走る自分のコースに一礼してから軽く飛び跳ね、それからスタート位置に着く。
パンっ!!!!
雷管の音とともにあたしは飛び出す。
トラック2周。
二分少しの戦いが始まった。


