泰知を見ていると、どこからか闘争心というものがあたしの中に芽生えてきて、今日も頑張れる。
この勝負、きっと勝てる、という自信が持てる。
大丈夫。
泰知が、笑顔でいるから。
それから、トイレまで戻ってから髪型をチェックして招集所に戻る頃には、招集は始まっていた。
三つ前の長椅子には泰知も座っている。
そう言えば、泰知は一組目だった。
一組目だと特に運が悪い泰知だけど、大丈夫だろうか。
「夕夏?」
突然、頭上から名前が呼ばれたからあたしの思考は泰知から逸れた。
名前を呼ばれた方を見ると、昇りかけの太陽が邪魔をしてよく見えなかったけど、たしかにそこに立っていたのは
「光里?」
うん、と笑ってあたしの隣までやってきて長椅子に腰掛けたのは光里だった。
「調子はどう?」
髪が邪魔なようで、最後にあった日は下ろしたまんまだった髪の毛をピンクのゴムでしっかりと結っていた。
「絶好調。怖いくらいにね。」
「ふっ。それ、光里が言ってやろうと思ってたのに。」
「ごめんね、先に言っちゃって。」
「いいよ?ほかの誰に負けたって、夕夏にだけは負けないから。」
「あたしこそ。」
多分あたし達は、最高のライバルなんだ。


