一年生ゼロ。
二年生二人。
三年生六人。
練習の差なら圧倒的に三年生が有利かもしれない。
だけどあたしには、根性と思いがある。
誰よりも強い思いがある。
結局長距離は、最後に大事なのは根性なのだ。
粘ることが出来れば、誰でも勝てる。
それは800でだって同じことなのだ。
「お前は大丈夫だ。それより俺の心配してくれない?三年生の中に俺だけ二年生なんだぞ?」
大げさな身振りをする泰知。
「泰知こそ大丈夫だから。てか、あたし達は、大丈夫。」
「どした、急に自信持っちゃって。まあ、俺らは大丈夫だから。」
泰知はそう笑うと、じゃあ、と手を挙げて招集所まで走っていく。
泰知は招集所のベンチで知り合いを見つけたらしく、笑顔で声を交わしている。
あたしは、そんな姿を少し遠くから見つめる。
凄く、楽しそうだ。
やっぱり、泰知は誰よりも楽しそうに走るから。
レースのあとも前も、誰よりもリラックスしていて楽しんでいる。
この空間を、雰囲気まで全て。


