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「お前は最初に飛ばす派?最後に飛ばす派?」
泰知にそう唐突に聞かれたのは全国大会の宿舎での夜を過ごしていた時だった。
やっぱり全国大会ということもあり、それなりに立派なホテルが用意されていた。
部屋は隣同士ではあるが、一応別々に用意された。
幼なじみで小さい頃から一緒にお風呂入っていたわけだから部屋が同じでも何の問題もないし、何も起こらないから気にはならないのだが、先生の配慮だと受け取って別々の部屋にそれそれの荷物を置いた。
正午過ぎにやっとこちらに着いたばかりで、競技場には少し入ったけれど、15分ほど体慣らしに走る程度にした。
その後、ホテルに着き、前川先生は役員になっているらしく会議に参加。
あたし達には自由な時間が与えられた。
荷物をまとめ終わったあと、泰知がいるのに一緒にいないという選択肢が存在しないあたしは、まっすぐに泰知の部屋へ向かった。