その競技場は二年ほど前に改修工事を終えたばかりの、バネの強さがまだある立派な競技場であった。
本来であれば、あたしはなんなく優勝を掴むことが出来たはずだった。
県大会通過タイムも、昨年度一位の三年生がいなくなったおかげでダントツの一位だった。
追われることがこれまで最大の楽しさで、自分はドSだとつくづく感じていたというのに。
當山せりかが大会中、頭の中から消えることはなかった。
一週間弱、せりかに会わなくて済むと思っていたのに、頭の中はせりかしかなかった。
おかげで予選の通過タイムはシーズンベストから遠くかけ離れ、四位通過。
決勝のスタートレーンも想像していたものよりも一レーン内側で歯痒さが残ることは間違いなかった。


