大きな問題はそんなに無かったのに、些細な意見の食い違いがあたし達の中には生じ、一度大きな対立があった。
いつもそれは、些細なものから始まる。
「休憩、15分入れよう。」
インターハイ県予選が終了し、地方大会を目指すグループとそうでないグループに分かれて練習をしていた日だった。
1000m5本。
今が一番に大事な時期であるということが分かっていたあたしは、極力選手に負担を与えないよう、細かく休憩の時間を区切っていた。
男子は別とすると、女子はあたしと楓、そしてギリギリ地方大会出場ラインに届いた一年の河合菜央。
一年生で新しいマネになった、込山伊咲(こみやま いさき)からスクイズボトルを貰い、走路の端に座っていた時だった。
「そんな練習で、夕夏さんは東北大会で優勝出来るんですか?」
目の前を通ったせりかが、いかにも不機嫌そうな顔色で、汗を髪から滴らせながら言った。
「試合前に追い込む危険を、あんたは知らないだけでしょ。」
そろそろ、一口目から喧嘩腰なあたしの口調は、きっといつにもまして厳しかったと思う。
たぶん、最近急に高くなった気温のおかげで体が対応出来ずにタイムが上手く出せていなかったからだと思う。


