***
當山せりかという人間の性格が、最初はなんとなく好みではなかったという感覚があった。
あたしの何倍も気が強く、結果に強い執着を持つ。
あたしと違う、それが対立を深めた原因になったと思う。
あたし達が別々のクラスへと別れてしまった絶望と、新たな学年であるという期待を胸に抱いてまるで小学一年生のように学校に通っていた四月の下旬。
當山せりかという人間が陸上部に入部届けを出した。
髪は後ろで前髪ごと小さなお団子を作って結んでいるのが特徴的で、腕の細さが際立っている選手であるというのが初見の感想だった。
綺麗な容姿であった。
きっと、人気者なのだろうという想像とは裏腹に、彼女はとても気が強く、先輩のあたし達に負けず劣らずのオーラを最大限に放つ、強敵であった。
「夕夏さん。」
彼女に初めて名前を呼ばれたその日から、きっとあたし達の意味のない戦いは始まっていたんだ。
「なにか。」
スクイズボトルを洗う当番になっていたあたし達は、部室棟の近くにある水道でスクイズボトルを無言で洗っていた。
「夕夏さんって、成績の割にオーラ無いですよね。」
「は?」
普段、泰知や昇馬にしか出ない口調がつい、彼女に対して出てしまった。
その返しが、逆に彼女を煽ることになるなんて、あたしは知らなかった。


