たしかにそっちのほうがやばいかもしれない。
自分の足元を見て自然と笑みがこぼれる。
一年ほど履いてきたランニングシューズは色が廃れ、ところどころ穴も空きそうになっている。
靴底もすり減って、そろそろ買い換えないと滑って転んでしまいそうだ。
「ありがと。」
楓から試合用の靴を受け取り、履き替える。
靴ひもぐっと締めて立ち上がると、楓は口を開いた。
「こんなに晴れるなんて、やっぱり泰知、どこかで見てるのかな。」
「そうだね、こんなに晴れるときって大体泰知が調子よすぎて危ない時だもんね。」
からっと晴れた空のどこかに泰知がいるような気がして、背中を押されているような気がして、心は自然と軽くなる。
「負けたら許さないからね。」
「責任重大だ。がんばんなきゃ。」
「ほんとにね。」
楓が軽くあたしの肩を小突く。


