「あたし………今日、昇馬に会って部活辞めたいって言おうと思ってた。………だけど、やっぱりどうすればいいかわかんない。」
あんなに陸上から離れたいなんて考えてたのに、まだまだ陸上を辞めたくないと思ってしまう自分がここにいる。
やっぱり、泰知の存在が、あたしの事を陸上から離してくれない。
でも
でも
「でも、これから続けられる自信もない。」
「そんなの、気にしなくていいだろ。」
雪はいつの間にかだいぶ小降りになっていた。
せっかく積もった雪を見れると思っていたのに、またしばらくお預けのようで。
「誰だって自信ないんだよ。いつ怪我するかわかんないし、突然高い高い壁にぶつかるときだってある。自信ないけど、やっぱ陸上が好きだから、走ってるんだろ。」
昇馬は空模様を確認してから傘を閉じた。