雑誌が並ぶコーナーに、見慣れた後ろ姿。
地味なジャージの上下にスエードのジャンパー。

(ミカだ)

ぼくは、できるだけ音をたてないように
さっさと店を出ようと思った。

こんな頭見られたら何て言われるかわかったもんじゃない。

卒業するまでからかわれて、挙句に、
結婚式のスピーチかなんかで、
思いっきり大げさに話をふくらませて、
ネタにされるに決まってる。

冗談じゃない。

でも……何か変だ。

特に何を買うといった感じではなく、
ただ無表情にペラペラとページをめくっている。

ぼくは少し脇へまわって、
ミカにばれないように気をつけながら、
表情をうかがった。