でも、これだけは言いたい。

五歳の女の子へのプレゼントが
ピエロの被り物っていうのはどうかな……なんて。

「そうだ、報告があるの」

すぐに向き直ったミカの瞳は、
以前にも増して、きらきらしていた。

「あのね、昨日パパから電話があったの!」

「へぇ、何て?」

平静を装って返事をするぼく。

「誕生日に帰れなくて悪いって。
だからその代わりに正月に温泉に行こうですって!」

「すごいじゃん」

日向の言ったとおりだった。
おばさんはきっと話しあったんだ。
親として。

「これってさぁ」

ミカが、少し声を抑えて言った。
まるでひそひそ話しをするみたいに。

「クリスマスとお誕生日のプレゼントだよね。
日向にお土産買ってこなきゃ。
もちろん、ハルキくんにもね」

そう言って、
うれしそうに笑いながら
家に戻ろうとしたミカに向かって、
ぼくは慌てて声をかけた。

「土産だけどさ、妙なマスクだけはやめてくれよな」

はじけるような笑い声をあげて、
ミカは扉の向こうに消えた。