(十) はじめてのプレゼント

夕食をさっさとすませたぼくは、
手さげ袋にカモフラージュ用のノートを
せっせとつめこんでいた。

ミカが風邪をひいて寝込んでいることなんて
露ほども知らない母さんは、
友だちと一緒に勉強する、というぼくの言葉に感激して、
夜食づくりの真っ最中だ。

ミカと二人っきりでっていうのは
ちょっと気がひけたから、
クラスの連中があと二人来る
なんて言ってしまったからさぁ大変。

うちで一番でっかい皿いっぱいに、
おにぎりを作っている。

そのけなげな後ろ姿に、
ぼくはちょっぴり胸がいたんだ。

でもしょうがない。
嘘も方便っていうじゃないか。
ついでに言わせてもらえば、
全部おかかっていうのは、ちょっと……ね。