ぼくは、急いで頭を整理しようと努めた。

病気や事故で意識を失ったりしたとき、
死んだ人が出てきておいでおいでをする……聞いたことはある。

夏になるとよくテレビなんかでよくやっている。
でもミカの場合、舞台は夢の中だ。
それに何より、
ミカはどこから見ても健康そのもので、
あの世の迎えが来るとは考えにくい。

それにミカはその人を怖がってるけど、
ぼくの印象じゃ、どうもそんな感じはしない。
少なくとも、悪い人には見えない、というか、
悪い幽霊には見えない。

しかし、何でピエロのマスクなんだろう。

日向もそこまでは分からないらしい。
そして決め手はあのひと言。

(あの子が呼んだ)

「でも、どこの誰がミカに取り憑いてるんだろう。
やっぱり、先祖とか、その辺の浮遊霊か地縛霊の類かな」

「怨恨霊というのもあるぞ」

 日向がすました顔で恐ろしいことを言う。

「ジョ、ジョーダンだろ?」

「当たり前だ。

憑依霊というのは、
同通する心をもつものに取り憑くもんだ。
ミカの波動がそんなものを引き寄せるはずがなかろうが」

だったら妙なこと言うなよ。

「ともかく、
夢の中をのぞかせてもらわんことには何とも言えんな」

「でもどうやって?」

「わしを誰だと思っとるんだ?」

急に胸をそらした日向の前で、
水晶が、得意げ(?)に輝く光を放っていた。