それにしても……やっぱり目が赤い。
それにやけにうるうるしてる。
心なしか顔も妙にむくんでるというか……。

「お前、ひょっとして具合悪いの?」

「少しね」

 ぼくは、ミカの額にそっと手をあてた。
次にとびのいた。

「すごい熱じゃないかっ!」

どうりで目が赤いはずだよ。

「もう来たのかな、死神さん」

「何で今までだまってたんだよ、ったく」

 ぼくは、
ミカの冗談を無視して思わず大声を出していた。
忍耐強いというか、無頓着というか。
でもミカは、やっぱり寂しそうにつぶやいた。

「一人でいるのに慣れちゃってたから」

「待ってろよ」

言うやいなや、
ぼくは玄関を飛び出した。

風邪ぐすり、風邪ぐすりと。
確か冷えピタか何かあったはずだ。

氷まくらは……冷えピタがあればいらないか。

ぼくは、あわただしく薬箱をひっくりかえした。

「ハルキィ、何やってるの?」

やばい、母さんだ。

薬箱をあさるぼくに不審なものを感じたらしい。

あれこれ聞かれたら面倒くさい。

とりあえずいりそうな物だけひっつかんで、
風のようにとびだした。

ぼくがもどると、
ミカは、ソファの片側をつかって横になっていた。

嵐のようにすっとばしてきたぼくを見て、急に噴きだす。

「ベッドで寝ろよ」

そういうぼくに、またおかしそうに笑う。