日向と別れたぼくは、
すぐにミカの部屋を訪ねた。

ミカは、さっきよりはいくぶん態度はやわらいだものの、
元気いっぱい、という感じでもない。

それに、何だか目も赤い。
考えたくないけど、泣いてたのかな。

ぼくは、なけなしの小遣いを
少しけずって買ったアイスクリームを二つ見せると、
ミカは、「この寒いのに」と文句を言いながらも、
ぼくを家の中に入れてくれた。

「広い……」

思わずつぶやく。

はじめて入るミカの家に、
ぼくは、正直おどろいた。

同じマンションの一室とは思えないほどの高級感。

つやつやで重厚そうな家具に、
シックにまとめられたインテリア。

隅から隅まで整然と整えられ、
なんともいえないいい香りが、
どこからともなくただよってくる。

「ハーブなの」

玄関にさりげなく置かれた小さな鉢植えを指差して、
ミカが言った。