今のぼくの表情は、
多分ミカと双子のようにそっくりに違いない。

でも、だからといって、放ってはおけない。

「言ってみろよ、何でも聞いてやるからさ」

ここへ引っ越してきてすぐ、
ぼくは、はるなと名乗る生霊に悩まされた。

昼夜なく現われるはるなにぼくはほとほと疲れ、
絶望さえ感じはじめていた。

そんな時、
ぼくを救ってくれたのは、ミカだった。

あのときミカがいなければ、
今頃どうなってたかと思うと、今でもぞっとする。

だからミカが悩んでいるときには助けてやろうと、
これでも本気で思ってたんだ。
 
ぼくは、改めてミカに向きなおった。
そして、ゴアついたジャンパーの袖をひっぱった。

昨日、ミカがしてたみたいに。

ただし、甘えてじゃないけれど。

「何とか言えよ」

ミカの瞳が、わずかに宙を泳いだ。

ぼくではなく、どこか遠くの見えない世界を探るように。

「私……」

乾燥気味のうすい唇が、小さく開く。

そして、かすかにふるえていた。