目線は、広げた雑誌に向けられてはいるが、
どこかうつろで
そこにはまるで何も映ってないような感じだ。

オシャレには特に気をつかうミカらしくなく、
おそらく寝起きそのままらしい髪は、
あちこちとびちる毛先もそのままに、
無造作に一つにくくられていた。

昨日学校が終わってからミカと会って以来、
一時忘れていた不安が一気に湧き上がる。

まただ。

数日前から見え隠れする暗く打ち沈んだ表情。

やっぱり気のせいじゃなかったんだ。

少し迷ったけれど、ぼくは声をかけた。

「おい、何やってんだ」

ミカは、はっとしたように顔をあげた。

「べつに」